それからしばらくして、親戚の人(この人の家は四国に数百年定着している)から、狸崇拝について詳しく教わる事になった。
ある地域(具体的な町名は伏せる。またその町でもほんの一部の地域が該当する)に狸を崇拝する土俗の教団があり、様々な現世利益を扱うという。
しかも、その信者には狸に憑かれる者も多くいるが、狸を使役していろいろ仕事をさせ、願望を達成するらしい。
また日頃は、その狸を暗い穴蔵などに隠しておき、敵や裏工作に使う時に穴蔵から出すという。
恐るべき事に、ここで「狸」と呼ばれているモノは、本質的には他県人が「犬神」と呼ぶモノと同一であり、徳島県内に数十箇所点在する狸の祠は、この「お狸さん信仰」に起因があるのだという。
つまり、「お狸さん信仰=イヌガミ信仰」を深く信じる人が、自分の町内に奉ったのが狸の祠となったというのだ。