その白い男の顔はまぎれもなくあの親父の顔であった。
翌日、Tさんは知り合いの僧侶に相談した。
あの変態親父の生霊なんて。
彼女は恐怖に打ち震えていたのだ。
「その親父の生霊ですね」
やはり、僧侶の見立てもその親父の生霊であった。
「どうすればいいですか」
彼女の懇願に僧侶は困惑した。
「生霊はやっかいなんですよ。殺すわけにもいかないですし、親父の注意が他に向くのを待つだけでしょうか」
「はぁ、そうですか」
彼女は肩を落とした。やはり、生霊はどうしようもないのか。
すると僧侶はこう付け加えた。
「いっそ、死霊になってくれたほうがいいんですよ。永遠に封印できますから」
現在、その変態親父の生霊は彼女の前には現れなくなり、違う女性のもとに出没しているという。
いつかこの妖怪は貴方の家にも出るかもしれない。