太ももを這う指先の感触。
「奥さん、奥さん」
猫なで声が聞こえてきた。
はっと目を覚ますと、夫婦の寝室に親父が入り込み太ももを撫でている。
「何するんですか!」
その手を払いのけたTさん。
親父は黄色い歯を見せて笑った。
「ミクシィって、知ってます?」
奴は当時まださほど知名度がなかったミクシィについて話し出した。
まったく悪びれたところはない。
「一緒にミクシィしようよ」
親父は寝起きのTさんにそんな話をしたのだ。何故朝からそんな話をしたのであろうか。
結局よくわからないまま強引に駅まで送り出し、親父とは縁を切った。
そして、それ以後は仕事であろうがなんであろうが、親父との接触を避けるようにしたのだが・・・。