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子供の怨念

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子供の怨念

千葉駅の南側に位置する鉄道管理局の庭に、千葉機関区の碑があるが、この碑にはある悲しい伝説が残されている。
第二次大戦中の昭和20年のことである。
ちょうど千葉大空襲の時のこと、千葉機関区の機関庫では、勤労奉仕中の小・中学生が居合わせており、その多くが爆撃で死亡した。
幼い命の喪失に、当時は衝撃的な事件として扱われたが、時代と共に次第に忘れ去られていった。
戦争の記憶も薄れかかった頃、マイホームブームに乗り、ある人が機関庫の付近に家を建てようとした。
「ようし、ここに家を建てよう」
気分はすっかり一国一城の主である。
早速、建設業者に依頼し、工事が始まった。
ところがここで怪異が起こった。

「これは、いったいどうしたものだろう」
現場監督は頭を抱えてしまった。
住宅の基礎となる土台の石を置くと、何故か翌日になると石が移動しているのだ。
「おかしいな~なんかの手違いだろう」
現場監督が不思議に思いながら石を元に戻しても、次の日にはまた石が移動している。
「おい、いい加減にしろ!!誰かいたずらでもしているのか」
現場監督の言葉に職人たちは首をかしげる始末である。
「ふ~む、これはいたずらではないのか…」
と、不審に思ったその人がその石を持ち上げると、土の中から何か声が聞こえる。
「…重い …重い」
と子供の苦しむ声が聞こえるのだ。

困った現場監督は、依頼者に相談した。
すっかり困り果てた依頼者は、機関庫で昔から働いている人に相談をしてみた。
「ああっ、あの場所はね…子供が死んでるんだ」
その人の説明によると、そこは千葉大空襲の際、小学生が爆弾の直撃をくらって、頭部を吹き飛ばされた場所であるというのだ。
(そうか、まだ成仏してないんだな…)
つまり、少年の霊は、今もそこに眠っているのだ。
そのため、頭に石を乗せられたりすると「重い」とつぶやいたり、石そのものを移動したりするのだ。
依頼者は、早速僧侶を呼んで供養した。
すると、無事工事は完了したという。 
昭和の戦争はいまや伝説となりつつある。
戦争を知らない大人が多い現在、子供の命の価値、戦争の無意味さを再度理解しなければならない。

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