小学校の頃、私が住んでいたのは大阪市内の某学校の裏手にある団地の4階でした。
部屋の窓からは東西に走る狭い道路がみえるのですが、そこはかつて、「妖怪のれん」を目撃した事のある道路です。
のれんがふわふわと空を飛んでいたのです。
2月のある夜の事、時間は既に夜の11時を廻っているというのに、やけに道路が騒がしいのです。
集団で騒いでいるようなガヤガヤ声が外から聞こえるのです。
「なんやろ、団地の集会か何かの帰りで、お喋りをしながら帰っていく集団でもおるのかな?」
どうしても確かめたくなり、窓からそっと覗いてみると…。
化け物の集団が練り歩いているのです。
列をなして楽しげに西に向かって歩いていくのは、人型をアレンジしたような半透明の人々なんです。
あれは、確かに人間ではありませんでした。
「これが、百鬼夜行か」
私は思わず観察してしまいました。
全裸っぽくてやけに腹のでかいヤツ…。
肩と首の境目がなく 首が長めに見えるヤツ…。
馬のような牛のような四つ足のヤツ…。
数は数えてなかったけど、ざっと30体位は居たと思います。
地上を歩いているというより、数センチ上をフワフワと浮きながら空中を歩いている感じです。
じっと覗いて見ていたのですが、こちらの視線に気づく様子もなく、道なりに曲がって歩き去り、建物の影に隠れてしまいました。