「血女房って知ってますか。幸運の女神さまらしいですよ」
「なんですか、何かの宗教?」
筆者が不審そうな顔で聞き返すと、Hさんは嬉しそうに答えた。
「やだな~宗教じゃないですよ。民間に伝わる呪術ですよ」
最初は、Hさんが茨城の某お宅で拝見したのだと言う。
「壷があるのですよ。その壷に中に血女房がいるのです」
「いる?」
「うふふっ、いると言っても生き物ではありません。人形です」
「人形、ヒトガタ?」
「なんかそうみたいですよ。内部に赤い塗料が入っている人形でね。その人形に憎い相手の名前を書いて包丁で突きまくるのです」
「随分と物騒な話だな」
「何度も何度も突くのです」
「……」
「力いっぱい、突くのです」
「やめてよ、もういいよ」
「すると壷の中は赤の塗料が飛び散って、血だらけのような状態になります。これで血女房が完成です。この呪いを行うと血女房が相手に付きまとい…」
「まるで式神だ」
「最後は相手を殺すらしいですよ」