アンパンマンは日本を代表する人気キャラクターであるが、例によって数多くの都市伝説が囁かれている。
その都市伝説の中に、ジャムおじさんとバタコさんは、実は夫婦であり結婚していたというものがあるらしい。
ジャムおじさんとバタコさんの関係は、これまで長年叔父と姪、祖父と孫などと言われてきたが、これが都市伝説では夫婦だと思われているのだ。
しかも、ジャムおじさんが亡くなった後、バタコさんはアンパンマンと再婚し、子供を作ったというのだ。
人間のバタコさんと、アンパンマンというアンパンを使った人造人間(?)との間に子供ができるのは不思議だが、ジャムおじさんとバタコさんは、元々人間ではなく妖精という噂もある。
ちなみにジャムおじさんとバタコさんの関係だが、実は最近になって公式にアナウンスされ話題となった。
アニメ「それいけ!アンパンマン」の公式サイト上にある「アンパンマンQ&Aのコーナー」にて「無関係です」との回答が提示されたのだ。
とはいえ、一緒に暮らしているので非常に家族に近い存在なのだという。
他にも、なかなか不気味な都市伝説だが、ジャムおじさんがあの島に住む言葉をしゃべる動物やキャラクターたちの創造主であるという都市伝説もある。
まるで映画「ドクター・モローの島」のようで不気味この上ないが、ジャムおじさんがマッドサイエンティストであると解釈すれば、あの物語の謎が全て氷解するのが不思議である。
また、アンパンマンの人気グッズに「アンパンマンのマント」というものがあるが、このグッズにまつわる奇怪な都市伝説が流布されている。
この人気グッズは海外でも人気商品であり、ある国ではこのマントで実際に空を飛んだ子供がいたのだという。
もちろん、実際に飛べるわけではなく、ビルから真っ逆さまに転落し、死亡してしまった。
以降、「このマントでは空を飛べません」という注意書きが入るようになった、という都市伝説なのだ。
なにやら、有名な都市伝説と似ている話である。
アメリカで、ある主婦が濡れた猫を乾かそうと、電子レンジで加熱したところ猫が死亡してしまった。
その主婦は電子レンジの説明書に「猫を入れないでください」との注意書きが無かったとして、製造メーカーに対し訴訟を起こした。
それ以来「電子レンジで猫を乾かさないでください」という注意書きが電子レンジの説明書に記載されているという話である。
実際にはこのような訴訟がおこされた記録は無く、訴訟大国であるアメリカ社会を揶揄した都市伝説だと考えられているが、このマントの都市伝説も同様の類であろう。
また、「ドラゴンボール」に登場する「スーパーサイヤ人」にも不思議な逸話が語られている。
孫悟空やべジータなどのサイヤ人が覚醒したものが「スーパーサイヤ人」なのだが、戦闘能力がアップし、漫画版では総毛立った頭髪が真っ白になるのが特徴である。
だが、このスーパーサイヤ人の頭髪が白い理由は都市伝説上ではこう説明されているのだ。
「髪の毛のベタを塗るのが面倒だからサイヤ人の髪の毛を白髪にした…」
なんと馬鹿馬鹿しい噂かと思わずにいられない話であるが、これは事実だったようである。
「ドラゴンボール」の解説本『Dragonball FOREVER 人造人間編~魔人ブウ編』で鳥谷明本人が語っているというのだ。
鳥山明は相当な面倒くさがりで、街なども書き込むのが面倒なため、すぐに破壊したくなるのだという。
他にも、この手のキャラクターの着色に関する都市伝説が存在する。
これは友人の芸人・島田秀平くんから聞いた都市伝説なのだが、何故「機動戦士ガンダム」の赤い彗星=シャア・アズナブルの搭乗するモビルスーツが一部を除いて全て赤色で統一されているのかというと、当時制作会社に大量の赤の絵の具が残っており、その処理に困ったアニメーターたちがシャアのモビルスーツを赤にしたからだというのだ。
もちろん、こちらの噂はアニメ以上に空想の産物であったようだ…。
あと30代以上の男性なら一度はハマったであろう人気アニメに「キン肉マン」がある。
ドジだけど根性と友情で戦い抜く「キン肉マン」は大いに男子の心を捉えたが、彼の好物は牛丼であると設定されてきた。
そのブランド名といえば吉野家だと筆者は思い込んでいたが、これは間違いだったのである。
当時アニメの中で「早いの、安いの、美味いの」とキン肉マンが歌っていたように思うのだが…。
このフレーズは吉野屋のキャッチフレーズのパロディではないのだろうか。
だが、週刊プレイボーイ誌上にて作者のゆでたまごとすきやの社長が対談、その牛丼ブランドがすきやと同じグループの「なか卵」であることがわかった。
実は「キン肉マン」コミック1巻に「うどん・牛丼」という看板が出てくるのだが、このうどんと牛丼を併記する看板は「なか卵」のオリジナルだという。
よりによって、関西人を中心に愛されている「なか卵」だったとは…。
「なか卵」は近年関東にも出店されているので、広く知られるようになったが、「ジャンプ」で連載されていた当時は関東ではかなりマイナーだったはずである。
ゆでたまごが大阪出身で「なか卵」でよく牛丼を食べていたため、このような設定になったらしい。
それにしても、ゆでたまごは吉野屋からどんぶりを贈られているし、都市伝説では吉野家・永久無料PASSを持っているとも言われていたのに…。
2008年にキン肉マンが連載開始29周年を迎えているのだが、この時作者のゆでたまご・嶋田隆司がtwitter上でこの牛丼問題について言及したのである。
上記の通り、漫画連載時から「キン肉マン」の牛丼は「なか卯」のものをモデルとしていた。
しかし、1980年代の始め頃、当時会社更生法の申請をせねばならいほどの苦境に立たされていた吉野家から、「キン肉マン」のアニメを制作していた東映に打診があり、アニメでは牛丼は吉野家のものになったのだという。
大人気となったアニメ版での設定となったことで、作者いわく、吉野家には多くの子供が訪れるようになり、会社が更正するきっかけのひとつにまでなったそうなのだ。
のちに作者は感謝の印として、吉野家から「名前入り特製どんぶり」などのグッズをもらうことになったのだが、当時経営が苦しかった吉野家から宣伝費などは受け取っていなかった。
時は過ぎ、くだんの連載29周年の企画を立てている際に、「キン肉マン」の漫画を出版している集英社から吉野家に「何か一緒に出来ませんか」との連絡が入った。
だが、吉野家はこの連絡に「特に何かをやる気はありません」と返答したのだという。
結局は「なか卯」と「すき家」(二つは同じグループ会社の関係にある)とのコラボ企画が実施されることになった。
だが、この企画が発表されると、「作者は吉野家を裏切った」との声がファンの間からささやかれるようになってしまった。そのため事の顛末を明かしたのだという。
吉野家は事実と相反していると指摘していようだが、作者のゆでたまご・嶋田隆司は吉野家に大しては不満があるのだという。
キン肉マンの牛丼を巡り、このような裏事情があったとは驚きである。
ちなみに、特製どんぶりが牛丼の永久無料PASSになるという話は都市伝説に過ぎないようである。
ある番組の企画で、作者がこの牛丼を持って店舗を訪れたところ、きっちり料金を支払わせられたのだという。
「サザエさん」のキャラクターにも奇妙な都市伝説が囁かれている。
「サザエさん」に出てくるタラちゃんが、スポンサーPR発言を露骨に展開し、批判を浴びた舌禍事件があったというのだ。
これは筆者が大学時代、秋田出身の後輩から聞いた噂話であった。
「サザエさん」の放送中に、タラちゃんがテレビをつけながら「このテレビは東芝から発売された最新のモデルです~」と露骨にスポンサーの東芝を持ち上げる発言を展開し、後日秋田の地方新聞のテレビ欄で「タラちゃん舌禍事件」として視聴者の批判を浴びたというのだ。あまりにも面白過ぎる。
タラちゃんはどうも都市伝説化しやすいキャラらしく、三谷幸喜の逸話が噂として流布している。
三谷幸喜が若手時代「サザエさん」の脚本を書く仕事が廻ってきた。
「サザエさん」の世界に新風を吹かせるべく、張り切ってタラちゃんが巨大化してしまう脚本を書いた。
この脚本にスタッフは激怒して、一切書かせてもらえなくなったという。
「サザエさん」に出てくるノリスケの息子「イクラちゃん」が言葉をしゃべるというエピソードが数年置きに放送されていたことをご存知だろうか。
日頃は「ハーイ」ぐらいしか言わないイクラちゃんが、もっと単語をしゃべれるようになり、騒動に展開するというパターンの話が何回かあったのである。
都市伝説研究家の間では、まったく架空の都市伝説的なエピソードではないかという説も強いが筆者は確かに見た記憶がある。
調べてみたところ、「イクラちゃん」が喋る回は1980年代から、複数存在しているようだ。
イクラちゃんは確かに「おいしー」や「ボール」などいつかの言葉を喋っており、イクラちゃんの母・タイ子さんも「まだ時々なんですけど喋るんですよ」とイクラちゃんが喋ることに言及しているのである。
だが、1990年代の初めごろに放送された回で「イヤだー」という言葉を発して以来、20年以上に渡ってイクラちゃんは言葉を発していないのだという。
一説によると、イクラちゃんがしゃべる回を放送すると、視聴者から苦情が来てしまうためだと言われている。
永遠の定番アニメ「サザエさん」が変化することを好まない熱狂的な視聴者が存在するのであろうか。
他にもサザエさんとカツオ・ワカメの三兄弟は、母違いの兄弟だという噂もある。
年齢が離れすぎているのが理由だという。
となるとフネはサザエさんの継母という事になる。
また異説ではカツオ、ワカメはサザエさんが未婚時代に産んだ子供という説もあるらしい。
いささか生々しい都市伝説でなんともいえないのだが、妄想もここまで来ると危険な気がしてしまう。
藤子アニメの中でも異色のブラックギャグ漫画「笑ゥせぇるすまん」。本作の主人公・喪黒福造が「ドーン」をしたその瞬間に、心の隙間を言い当てあれた相手が喪黒の顔面を殴ると顔面が割れ、悪魔の顔が現れるという都市伝説がある。
実はこれだけでなく、原作の「笑ゥせぇるすまん」の中に喪黒福造の影が、悪魔のようになっているコマがあるという。
つまり、人間の心の隙間に忍び込む喪黒福造の正体は、悪魔だというのだ。
かなり不気味な都市伝説ではあるが、ありうる設定である。
一部の視聴者の間に「ウルトラマン」が乱心し、町を破壊しまくったという都市伝説も存在する。
正式なエピソードにはこのような回はないようなので、「偽ウルトラマン」のエピソードが間違って流布されたか、または同時期にやっていた特撮番組「アイアンキング」で、アイアンキングが乱心して町を破壊してしまうシーンがあるので、それがウルトラマン乱心というエピソードに変質してしまった可能性はある。
都市伝説とは伝言ゲームであり、伝播するうちに変化していくものなのである。