スタジオ・ジブリの制作するアニメの評価は世界的にも高い。そのため、ジブリ映画に関する都市伝説は多い。実はジブリ作品のエンディングの解釈を巡って都市伝説になっている作品がある。
宮崎駿監督の名声を高めた名作「風の谷のナウシカ」である。原作とア
ニメのエンディングでは違うのだが、筆者は両方とも熱狂的なファンである。噂になったのはアニメのエンディングである。
作品の最後に砂の上におかれたナウシカの帽子と、発芽する植物の芽が描かれている。
これは「一度死んだ世界が再生する」という意味が込められた描写ではないかと推測される。
またエンディングテーマの中で、風の谷の復興を指揮し、トルメキア軍の撤退を見送るナウシカが描かれている事から、ナウシカは死んでおらず、オウムの不思議な力によって生きながらえたと一般的には解釈されているのだが、一部のマニアは、「ナウシカはオウムの行進を止めた時点で死亡した」と主張しているのだ。
あのエンディングの何処からナウシカ死亡説が出るのか不思議だが、「明日のジョー」のラストで「矢吹ジョーは死んだのか、否か」というかつての論争を思い出すような解釈であった。
また、「風の谷のナウシカ」に続く名作「天空の城ラピュタ」にも不思議な噂がある。実は、同作品には二種類のエンディングがあると言われているのだ。「天空の城ラピュタ」は
1986年に劇場で公開されたが、その時使用された通常のエンディングと、第一回目のテレ
ビ放送版(ディレクターズカット版?)のエンディングと、二種類存在すると言わているのだ。
これは不可解である。作品を観た方はおわかりだろうが、通常のエンディングは、このようなものである。
「パズーたちと海賊たちが別れ、ラピュタの木がひたすら空間を漂い、そのままスタッフロールが流れていく」という形で終わっている。
これとは違って、都市伝説で言われている(幻のエンディイング)では、シータの故郷であるゴンドアに二人が降り立ち、握手をして別れるという最後であった。
これはいったいどういう事であろうか。
この噂に関しては、スタジオ・ジブリは公式ホームページで否定しているが、それでも噂は二重三重のらせんを描いて拡大している。
実は、映画公開の直後に宮崎監督が新しくエンディングを制作し、テレビ放映してみたものの、あまり夢のある最後で無かったため、封印してしまったという新しい噂も広がっている。
また、同人誌で勝手に制作された後日談が流布したとか、同人ゲームにそのようなシーンがあるとか、一回目のテレビ放送時(劇場版放映時という説もある)に、「天空の城ラピュタ」とタイアップでやっていた、「ライトフルーツソーダ 天空の城ラピュタ」(1986年6月発売)という清涼飲料水のCMに手をつなぐようなシーンがあり、視聴者が混同したという説もある。
この様子では、一回目のテレビ放映時のビデオテープが出てこない限り、決着が付きそうもない。
現在、都市伝説研究家たちの間では、設定資料集である「スタジオジブリ作品
関連資料集1・スタジオジブリ』 (1996/06)におけるラピュタ記事の扉絵ページに、オーニソプターに乗ったパズーが、ゴンドアのシータを訪ねるシーンが描かれており、これが都市伝説となったという説や『THE ART OF LAPUTA・徳間書店』(1996/06)に掲載されたラピュタのシナリオ準備稿に「行こう、シータの谷へ」というパズーの台詞が書かれており、これが都市伝説を創り上げたという説、小説版の「天空の城ラピュタ」に描かれた後日談が一人歩きしたという説が有力である。