絵師であるSELさんは、小学校時代を静岡県で過ごしている。
その当時、奇妙なウワサを度々耳にしたという。これはその中のひとつ、「冷蔵庫に住む人」である。
彼女の通っている小学校の近くの空き地には、冷蔵庫が破棄してあった。
現在のお洒落な冷蔵庫ではなく、鍵のついた古いタイプのものであったらしい。
見るからに不気味な冷蔵庫は、子供たちの間で噂となり、その冷蔵庫に纏わる噂が広がっていた。
それは“冷蔵庫の中に棲む人がいる”という噂であった。
噂には様々なバージョンがあった。
リュックサックを背負った人が、冷蔵庫の中に入っていったとか、日頃冷蔵庫の中で棲んでいる人が出かける時は、中から出てきて冷蔵庫の鍵を閉めて外出するとか。
「本当なの?それって」
SELさんは、当時友人たちに聞いて冷蔵庫を見にいった事がある。
草がおい茂る地面に放り出されたような、古ぼけた冷蔵庫がそこにあった。
なんの変哲も無い冷蔵庫だ。
(冷蔵庫の扉を開けると、どこか違う場所につながっているのだろうか)
selさんは疑問に思った。
このような子供の疑問が都市伝説や妖怪を生み出すのである。