「ご主人が帰ってくるまで昼寝させてください」
親父は昼食を食べると、ごろりと横になった。
「何この人」
Tさんは不気味に思ったが我慢した。
だが、この親父の暴走はまだまだ続くのである。親父は夫との仕事の打ち合わせ後、こんなことを言い出したのだ。
「実は、ホテルとってないんですよ。泊めてもらえませんか?」
「はぁ、とってないんですか?」
呆然としたTさんと夫であったが、仕方なく泊めることにした。だが、親父のひんしゅく行動は止まらない。
その日の夜、その親父は突然Tさんの家でフォークライブをはじめたのだ。
「このギターいいねえ、僕の曲を聞いてよ」
夫のギターを使って、真夜中にも関わらずジャンジャン、ギターを弾き始めたのだ。
「この歌知ってる?ナイスなフォークソングなんだ」
夢中になってギターを弾く親父。目は完全にいっている。