数年前、インターネットやTVで「村」をテーマにした都市伝説に人気が集まった。
「100人の村」という偽善的なチェーンメールも有名になったが、通常の村系都市伝説は陰惨なものが多い。その内容は、どれも猟奇的だ。
「某県・某所の○○村にいくと呪いを受ける」
「○○村は昭和初期廃村になった。なぜならその村は、かつて皆殺しの殺人事件があったからだ!!」
「○○村の正確な場所はわからない。なんと地図から消された。その村の入り口の目印は○○」
「○○村では、昔大量殺人事件があった。その犯人(或いは被害者の村人の霊)が今も徘徊し、訪問者を襲う」
大体こんなストーリーや設定で”村系都市伝説”は伝播する。
どうも現代人は、文明と隔絶した山村や離れ島に心惹かれるようだ。
かつて、昭和末期に横溝正史の小説が人気になったのと同様であろう。
戦後、高度経済成長時代に、横溝正史が江戸川乱歩と並び人気を博す。
「獄門島」「悪魔の手まり歌」「八つ墓村」「犬神家の一族」などが主な人気作品だが、どれも離島、山村などに起こる連続殺人がテーマであった。
だが時代が経つにつれ、昭和末期には”古くさい小説”として忘れられていた。
その魅力を角川春樹氏により再発見され、横溝ブームが昭和末期に巻き起こる。
石坂浩司、古谷一行、渥美清など名優たちが演じる名探偵・金田一耕助が、スクリーンやブラウン管で活躍した。
子供たちに与えたインパクトは凄かった。
「悪魔が来たりて、笛を吹く~」
「鵺の泣く夜は、恐ろしい」
「祟りじゃ~祟りじゃ~八つ墓の祟りじゃ~」
という名台詞は当時の流行語となった。
この一連の横溝ブームが後の「村系都市伝説」に影響を与えたのは容易に推測ができる。