私の通った小学校は、私が入学する前年に百周年を迎えた歴史ある古い学校でした。
当時は体育館が無くて、朽ちかけた講堂が体育館も兼ねていましたが、その講堂の天井が不気味で、大小たくさんの濃い黄色をした“染み”がありました。
「あの染みって、なんだろう」
私たち生徒も不気味に思ったのですが、こんな噂が囁かれていたのです。
その講堂には、グランドピアノが2台、対角線上の隅に置かれていたのですが、そのピアノを校長先生が弾くと、ピアノの中に吸い込まれてしまうらしいのです。
過去にピアノに吸い込まれた校長がいるらしく、天井の染みは、真夜中にピアノに吸い込まれた校長先生が、苦しくて蜜を吐いた痕だと言われていました。
私はこの亡くなった校長先生を調べてみました。
百周年の時に、小学校の百年の歴史を記した立派な本が配られたのですが、この本を兄が持っていて、この本の中に歴代校長の写真と在任期間が掲載されていました。
ピアノに吸い込まれ亡くなったと言われた校長も載っていました。ハゲヅラを被って、メガネをかけたカトちゃん似の校長でした。
実際にこの校長は在任期間中に亡くなっていました。
「この校長が蜜をはいたんやろか」
そう思うと怖いやらおかしいやら、不思議な気持ちになりました。
また、講堂のある敷地は元墓地であったと言われていて、講堂の床に出来た隙間から地面を覗くと、露出した骨が見えるという噂もありました。