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スーパーマンの呪い

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スーパーマンの呪い

制作に関わった人間に次々と不幸が訪れる「呪われた映画」とされる作品がある。
有名なものでは『ポルターガイスト』などがあげられるが、意外なところでは『スーパーマン』も「呪われた映画」だとされる作品である。
『スーパーマン』はDCコミックが生み出した、誰もが知る典型的なヒーローものであり、数々の実写映像化作品が生まれた。
本作に出演した人々が、不幸に見舞われているため呪いではないかと囁かれたのだが、特に多いのが、主役であるスーパーマンを演じた俳優にまつわる不幸である。
1948年に実写映画化された際の主演カーク・アレンは、本作に出演後、全く役がつかない状態になり役者を引退せざるをえなくなる。
1951年の『スーパーマンと地底人』やその翌年に放映されたテレビシリーズで主役を演じたジョージ・リーブスは不可解な死を遂げる。
1959年、リーブが自宅で頭部に銃撃を受けて死亡しているのが発見されたのである。
凶器はショットガンであることが明らかになったが、リーブが死亡したのは結婚を間近に控えていた頃の事であり、自殺なのか他殺なのか、いまも死の理由は明確になっていない。
1978年から計4作が作られた『スーパーマン』シリーズでも不幸は続く。
1作目でスーパーマンの赤ん坊の頃を演じたリー・クイグリーは、14歳の頃に有機溶剤の吸入により死亡する。
4作全てで成人のスーパーマン役を演じたクリストファー・リーブは、1995年に乗馬中に落馬し、首を骨折し脊椎も損傷。首から下が生涯に渡って麻痺するという大怪我を負ってしまう。

主演俳優だけでなく、脇を固める俳優陣やその周辺の人々にも不幸が起きる。
1978年からのシリーズでスーパーマンの恋人役を演じたマーゴット・キダーは、1990年代に精神疾患を患い、ある日失踪してしまう。
最終的には他人の家の庭をさまよっているところを発見され、症状が相当に重度なものであることが明らかになった。
また、同シリーズの4作目に出演した、マリエル・ヘミングウェイ(文豪アーネスト・ヘミングウェイの孫)の姉で、同じく女優のマーゴ・ヘミングウェイが1996年に死亡している。
マーゴもキダーと同じ種類の精神疾患を患っており、死因は精神薬の過剰摂取であったが、自殺なのかどうかはわかっていない(ちなみに死亡日は祖父のアーネストと同じ日であった)。
他にも、同シリーズに出演以後、家庭で度重なる不幸が起きた俳優がいる。
スーパーマンの父役を演じた、名優マーロン・ブランドである。
息子のクリスチャン・ブランドが、1990年、異母妹シャイアンの恋人を射殺してしまう。
シャイアンはこの事件のショックから立ち直る事が出来ず、20代で自殺してしまった。
ブランド自身も晩年は肺の病気や癌など、様々な病気をわずらって死去した。
このように『スーパーマン』に関わった人々が次々に不幸になったことから、一連の事態は「スーパーマンの呪い」と呼ばれるようになった。
ただ、呪いのせいだとする不幸は、かなり広範囲に及ぶため、「スーパーマンの呪い」はこじつけに過ぎないとする見方もある。
その一方で俳優の中には呪いを信じる人間も多く、「スーパーマン」の映像化作品ではキャスティングに難航することも多いのだという。

また、「スーパーマンの呪い」では、主演俳優に不幸が相次いだが、これにはある共通点が存在しており、そこから派生した不幸だとも考えられている。
カーク・アレン、ジョージ・リーブス、クリストファー・リーブ。彼ら3人は共に、スーパーマン出演以後に、役者としての危機を迎えているのである。
カーク・アレンがスーパーマンを演じたあとに役者生命が長くは続かなかったのと同じ様に、ジョージ・リーブスやクリストファー・リーブも役者として危機的な状況に陥っている。
特にジョージ・リーブスは役がつかないことを悩み、その後、鬱病状態となっていたようで、前述の事件も精神の不安定さがもたらせた自殺だったのではないかという説もある。
スーパーマンを演じた俳優に不幸が起きるのは、その役柄ゆえのことだと言えるかもしれない。
スーパーマンは、スパイダーマンやバットマンと違い、仮面を被らずに素顔のまま戦うヒーローであり、しかも、絶大な人気を誇ったキャラクターでもある。
一度スーパーマンを演じてしまうと、その強いキャラクター性のため、以後は何を演じてもスーパーマンにしか見えなくなってしまう。
それが役者生命に危機を呼んでしまう、とも考えられるのだ。
誰もが知る存在になることは、役者としては悦ばしいことであり、目指すべきことでもある。
だが、強烈なキャラクター性をもつ役柄を演じる事でそれを成し遂げると、それはむしろ逆効果を生んでしまうのである。
人々の平和を守る存在であるスーパーマンは、演じる方にとっては非常に危険な存在なのだ。
2000年代に入ってからも、「スーパーマン・リターンズ」(2006年 主演:ブランドン・ラウス)や「マン・オブ・スティール」(2013年 主演:ヘンリー・カヴィル)など、スーパーマンの映画が公開されている。
21世紀のスーパーマンを演じた彼らが、それまでの役者陣と同じような不幸な道を辿らずにすむことを祈りたい。

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